見えないところでは思い切り悪態をつく表情になる ピカピカの蛇口に顔を歪めた私が映る 女がホームの水道で舌打ちしながら熱心に靴を洗ってた 私はその姿を横目に見ながら女の行動の原因になった吐瀉物を飛んで避ける 目の前のドムが私が持っているお気に入…

一週間前、また一週間後にここでねと夢の中で夢の中のきみと約束したので夢の中のいつものカフェで夢の中の私はボードゲームを広げて待ってる。もちろんきみは来ない。いつもおいしいお茶を入れてくれるお兄さんが耐熱ガラスのまるいおおきなポットで私のス…

あ、カゲロウの卵 と 呟いて、私はいつも通りタイコウチの卵を思い出す。

「刺し傷で清い性器を作るといいよ」「太腿が刺しやすくていいよ」「よく締まるしいいよ」 いつもの女が私に淡々と言葉を向ける。私はそれじゃあ奥まで入らないよと思う。奥まで入れたかったらやっぱり腹に開けるの？と口を開きかけて、喉まで出かかった言葉…

「あなたも上げてもらったのお？」 "揚げて"じゃないのかこの莫迦と思いながら増える日本語のラインを見つめる。 「貧乏人が自分語りして悦入ってんじゃねえよ」 「やっすい女だな」 「体なしで億引っ張ってから言えこのクズ」 僕はうんざりして白い丸い牡丹…

アリスが落ちる穴のような、先が全く見えない細く暗いその木のうろは、私の夢の中で初めて登場するパーツだった。 この先にあるのが悪夢なのか、全く想像できそうにないそのパーツに、夢の中の私も、現実の私もどう行動して良いかわからず、しばらく暗い穴の…

全てが嫌になったのでほんの少し夜風に当たりに出た先のハイパーマーケットで久しぶりにみたそれには昔地元のドラッグストアで見た時と同じように当店の売れ筋ポップがくっついていた。149円。変わらぬ色と形一体どんな用途でこの世界どこにいっても一番の売…

とうとう私の順番がまわってきてしまった。アウトオブ布団だ。 人生で8746回目の夜、私は人生で162回目のアウトオブ布団を起こした。その途端鳴り響くサイレンと、窓の外の闇夜を切り裂くサーチライト。しまった！とうとう本物の"アウトオブ布団"になってし…