ビリジアンと赤の傘

 予定通り、無事勤め先で次の催し物をはじめることができた。壁に青い絵を飾り、絵に囲まれた中央の空間を更にビニールシートでテントのように覆って、私はその中でこたつに入りテレビを見ながらラップトップのキーボードを叩いていた。
 思いがけず結構お客が入る。テントの入り口をぺらとめくり客が顔を出すたび、挨拶し、来てくれて嬉しいと声をかける。

 海さんが顔を出したので私は嬉しくなって、隣に小さな遊園地が出来たんですよと誘った。今日は用事があるから明日また来る、一緒に行こうと彼女は絵も見ずに早々に帰ってしまう。残念に思うが明日もまた来てくれるらしいのでまあいいか。

 祥子おばさんも来ていて、みんなあんたと話をしに来るみたいねと嬉しそうに言う。海さんはビリジアンと赤の布を半分ずつ使った大きな傘を忘れていく。

 隣の遊園地はとても小さい。ミニコースターとミニ観覧車が目玉なので、明日海さんをどちらに誘うべきかこたつの中で一晩悩む。多分観覧車が良いだろう。彼女は観覧車が好きで彼女の恋人とよく乗っているらしいから。